筑後川開発と筑水協


〈40年代前半〉
40年代前半は、(1)4堰地区における用排水の改善整備、(2)耳納山麓地区農業開発事業の促進、(3)両筑平野用水事業の促進、(4)筑後川下流地区農業開発事業の促進、(5)広域上水道事業の促進などを流域優先事業として取り上げ、流域優先を前提とした各種用水の早期実現を図るため、(1)上流ダム群の建設促進、(2)真名子ダムの建設促進(3)合口堰(筑後大堰)の建設促進、(4)内水面およびノリ漁業用水対策の実現などを、さらに河川環境整備、水産、観光用水等に伴う対策措置、公害(水質汚濁)対策の強化などを運動の主目的にし、同時に先進地視察も行っている。
昭和40年5月11日:北部九州水資源開発協議会と筑後川流域利水対策協議会との第1回連絡会議を開催
昭和40年6月15日:同上第2回連絡会議を開催
昭和41年2月 3日:第1次フルプラン閣議決定両筑平野用水(江川ダム)
〈40年代後半〉
40年代後半は、(1)北部九州水資源開発マスタープランについて、昭和48年度において上流ダム群(シリーズダム)の調査中止に伴い早急に代替ダムの調査を実施すること、(2)49年に改訂が予定されているマスタープランについては、流域優先の原則を堅持することをあげ、(3)筑後川水系に係る水資源開発基本計画(フルプラン)については、水産業、特にノリ漁業および上流水源地の地域開発、さらに「アオ取水」などについて具体的な見通しと方向が示されていないことを指摘し、この問題の解決こそ流域優先の原則になると主張している。
さらに、(4)耳納山麓、両筑平野、下流の農業開発、寺内ダム、筑後大堰の建設促進を促し、(5)早急に事業着手、調査を必要とするものとして、上流ダム群の早期建設、上流水源地域の開発促進をあげている。その他、河川環境整備、水産、観光用水の環境整備の促進、水質汚濁防止など活動を行っている。
昭和45年12月22日:第1次フルプラン一部変更 寺内ダム追加等
昭和49年 7月26日:第1次フルプラン一部変更 筑後大堰、福岡道水の追加
〈50年代前半〉
50年代前半は、流域優先の先決条件として、(1)治水事業の促進=治水容量の確保をあげている。これは筑後川治水基本計画の中で夜明地点における基本高水ピーク流量を10,000m3/sとし、夜明上流で4,000m3/s調節することによって同地点計画高水流量を6,000m3/sと規定している。
夜明上流で4,000m3/sの調節は既設の下筌、松原両ダムで2,500m3/sカットされるが、1,500m3/s不足する。その分については早急に上流ダム群を建設する必要がある。勿論、筑後川全体の治水事業についても促進されなければならないとして、具体的な数字を要求している。
(2)不特定容量の確保についても、筑後川の利水計画は渇水1/10を採用し、昭和35年を計画年次として採用しているが、瀬の下地点での基準流量を40m3/sとしている。この場合の不特定容量は22,448千m3であり、このうち、寺内ダムで700千m3確保されることになっているが、なお21,748千m3が不足することになる。この穴あき期間(8月度)の不特定容量は絶対確保するべきであると主張している。この2点の要求は50年代後半の現在に至るまで一貫して変わっていない。
さらに(3)マスタープランについては50年代前半に全面改定が実施されるので、前述した要求を全面に押し出し要望している。フルプランについてもまた同様である。(4)その他の要求事項は40年代後半と同じであるが、新たに筑後川河川敷の利用拡大をあげている。第2次マスタープランは昭和51年11月に決定されたが、流域が要求して流域優先の原則がかなり折り込まれたものの、基本原則には明確な裏付けデータがないため、具体的な事業実現を要求している。
〈50年代後半〉
50年代後半には、前述した要求の外に(1)下流地区農業開発事業の水資源開発公団承継をあげ、(2)水利用については、筑後川全体の総合管理システムの確立を要望し、節水意識の高揚、水の循環利用など合理的な水利用をあげ、域外導水については流域内に対する公共投資の増大、水源施設の整備、治水容量、不特定容量の確保などが具体化され流域開発が進捗することによって対応できるとしている。
(3)流域内開発事業も50年代前半の5つの事業の外に筑後川中流域農業開発事業、下筌、松原ダム再開発事業、佐賀導水事業、猪牟田ダム建設事業、池町川浄化対策事業、藤波ダム建設事業が加わり、これらの早期完成を目指して積極的な活動を続けて今日に至っている。また昭和56年1月にはフルプランの全面改訂が行われ、本格的な開発事業が実施されることになった。
昭和56年1月30日:フルプラン全部変更(第2次フルプラン)水需給計画の変更、寺内ダム、筑後大堰、福岡導水、耳納山麓土地改良、筑後川下流土地改良、筑後川下流用水、竜門ダム、猪牟田ダム、松原・下筌再開発、佐賀導水、城原川ダム、山神ダムの追加
昭和59年2月24日:第2次フルプラン一部変更 赤石川ダムの追加等
〈平成〉
平成 元年1月24日:フルプラン全部変更(第3次フルプラン)水需給計画の変更、福岡導水、筑後川下流用水、大山ダム、竜門ダム、猪牟田ダム、佐賀導水、城原川ダム、耳納山麓土地改良、筑後川下流土地改良※赤石川ダムを大山ダムに名称変更
平成 5年9月21日:第3次フルプラン一部変更 小石原川ダムの追加等
平成11年1月29日:第3次フルプランの一部変更 福岡導水、大山ダムの工期変更等
平成17年4月15日:第3フルプランの全部変更(第4次フルプラン)水需給計画の変更、福岡導水、大山ダム、佐賀導水、筑後川下流土地改良、小石原川ダム、両筑平野用水二期事業※両筑平野用水二期事業の追加、猪牟田ダムの中止
平成25年2月22日:第4次フルプランの一部変更 両筑平野用水二期事業の工期変更
平成25年度まで → 平成29年度まで
平成27年12月18日:第4次フルプランの一部変更  小石原川ダム建設事業の工期変更
平成27年度まで → 平成31年度まで
平成30年6月26日:第4次フルプランの一部変更 水資源開発基本計画に基づく事業により生じた施設の機能向上、更新等の改築事業者の提示
令和3年8月31日:第4次フルプランの一部変更 小石原川ダム建設事業の工期変更
平成31年度まで → 令和10年度まで ただし、概成は令和元年度
令和5年1月31日:第4次フルプラン全部変更(第5次フルプラン)
水需給計画の変更、小石原川ダム建設、寺内ダム再生
※筑後川水系ダム群連携事業を独立行政法人水資源機構が国土交通大臣より継承